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「不思議」の作品
理屈では説明のつかない出来事が起きる作品。
- 金の輪長い病気からようやく床を離れた太郎は、三月の末に外へ出る。だが往来には遊ぶ友だちがだれもいない。
- 器楽的幻覚仏蘭西から来た若い洋琴家の連続音楽会に、私は六回通う。静かなホテルの会場に、教室のような親しさを覚えていく。
- 愛撫猫の耳を「切符切り」でパチンとやってみたい。私は子供のときからそんな空想を捨てられずにいる。
- マグノリアの木霧がじめじめ降るなか、諒安は険しい山谷の峯と谷を、沓の底を踏み抜きながらひとりで渡っていく。
- やまなし小さな谷川の底を写した二枚の幻燈の話だ。五月の水の底で、蟹の兄弟がクラムボンのことを話している。
- 月夜と眼鏡町も野も緑の葉に包まれる月のいい晩、町はずれに一人で住むおばあさんが窓の下で針仕事をしている。
- 白昼夢晩春の蒸し暑い午後、私は場末の埃っぽい大通りを、用事か散歩かも思い出せぬまま歩いていた。
- 祭の晩山の神の秋祭りの晩、亮二は十五銭をもらってお旅屋へ出かけ、見世物小屋の「空気獣」に入ってしまう。
- 月夜のでんしんばしらある晩、恭一は鉄道線路の横を歩いて停車場の近くまで来る。空には九日の月とうろこ雲がかかっている。
- 木乃伊波斯王カンビュセスが埃及に攻め入った軍に、都の風になじまない陰鬱な部将パリスカスがいた。
- 牛女ある村に、体が大きく口のきけない女がいた。やさしい女で、一人の男の子を大事に育て、村の人から「牛女」と呼ばれた。
- 火星の運河「私」は音も匂いもない果てしない大森林の下闇を、行き先も分からないまま歩き続けている。
- ガドルフの百合旅のガドルフは、十六哩先の次の町を目指して、楊の並木道を朝から歩き続けている。
- 蜃気楼秋の昼ごろ、僕は東京から来た大学生のK君と鵠沼の海岸へ蜃気楼を見に出かけ、途中でO君も誘う。
- 風博士語り手の「僕」は、遺書だけを残して姿を消した恩師の風博士について、その死を信じよと読者に訴える。
- 魚服記本州の北端にある馬禿山の滝のそばで、スワは父親と炭焼小屋に暮らしながら茶店の番をしている。
- 狼森と笊森、盗森小岩井農場の北に並ぶ四つの森の名の由来を、黒坂森の巨きな巌が「わたくし」に語って聞かせる。
- Kの昇天或はKの溺死療養地のN海岸で知り合ったK君が溺死した。私は、その死に思い悩む相手へ長い手紙を書く。
- 山月記唐の時代。若くして科挙に合格した秀才の李徴は、役人を辞め、詩人として名を残そうとする。
- 鹿踊りのはじまり苔の野原で眠った語り手は、風のことばから鹿踊りのほんとうの精神を聞く。そこから昔の野原の話が始まる。
- 水仙月の四日雪婆んごが遠くへ出かけた晴れた日、赤い毛布の子供がカリメラのことを考えながら家へ急いでいる。
- 名人伝趙の都の邯鄲に住む紀昌は、天下第一の弓の名人になろうと志し、名手の飛衛に弟子入りする。
- 山男の四月山男はにしね山の林で兎をねらううちに山鳥をつかまえ、日なたのかれ芝に寝ころんで空をながめる。
- 寒山拾得唐の官吏の閭丘胤は、台州へ旅立つ前に頭痛に悩み、門に来た乞食坊主に水を吹きかけられて治る。
- どんぐりと山猫ある土曜日の夕方、一郎のうちに山ねこからはがきが届く。めんどうな裁判をするので来てほしいと書いてある。
- 文字禍アッシリヤの都ニネヴェの図書館で、毎夜ひそひそと怪しい話し声がするという噂が立つ。
- 雪渡り雪が堅く凍った日、四郎と妹のかん子は雪沓をはき、いつもは歩けない野原を森の近くまで渡っていく。
- 赤い蝋燭と人魚北の海に棲む身重の人魚は、我が子を人間の町で幸せに育ててほしいと願い、陸で産み落とそうと決める。
- 白ある春の昼過ぎ、白い犬の白は、大の仲よしである隣の黒が犬殺しに狙われているのを見る。
- 魔術時雨の晩、私は大森の町はずれに住む印度人のミスラ君を訪ね、魔術を見せてほしいと頼む。
- アグニの神上海の薄暗い家に住む印度人の婆さんは、アグニの神の御告げで占うと言い、亜米利加人から小切手を受け取る。
- かしわばやしの夜日暮れに稗の畑で土をかけていた清作は、柏の林から変な声を聞き、そっとそちらへ走っていく。
- 黄いろのトマト町の博物館にある剥製の蜂雀が、朝早く来た「私」に、ペムペルとネリの兄妹の話を語りはじめる。
- 杜子春唐の都洛陽で財産を使い果たした若者杜子春が、寝る所もなく西の門の下で途方に暮れている。
- 花のき村と盗人たち初夏の昼、五人組の盗人が花のき村にやって来る。かしらは藪のかげで待ち、四人の弟子に村を探らせる。
- 双子の星天の川の西の岸に住むチュンセ童子とポウセ童子は、毎晩お宮で銀笛を吹く双子の星だ。
- セロ弾きのゴーシュ町の活動写真館でセロを弾くゴーシュは、楽団でいちばん下手で、いつも楽長に叱られている。
- 鏡地獄曇った春の終りの日、怪しい話を語り合う席で、友だちのKが一人の不幸な友人の話をはじめる。
- 秘密刺激に飽きた私は、浅草の寺の一間に隠れ住み、奇怪な書物や仏画に囲まれて暮らし始める。
- 半七捕物帳半鐘の怪江戸の下町で、火事でもないのに夜ごと半鐘が鳴る。見張りがいるあいだは鳴らず、気をゆるめると鳴り出す。
- 半七捕物帳石灯籠天保十二年の暮れ、十九歳の半七は、小間物屋菊村の娘お菊が浅草へ出かけたまま帰らないと聞く。
- 夢十夜「こんな夢を見た。」という書き出しで知られる、十の夢を描いた連作。
- 倫敦塔留学して間もない余は、ロンドンの人波と騒音におびえながら、地図一枚を頼りに倫敦塔へ向かう。
- 半七捕物帳お文の魂冷たい雨の夜、少年の「わたし」はKのおじさんから、叔父が語らなかった「おふみの一件」を聞かせてもらう。
- 桜の森の満開の下鈴鹿峠に、旅人の着物をはぎ、気に入った女は女房にしてしまう山賊が住んでいた。
- 押絵と旅する男魚津へ蜃気楼を見に行った帰り、私は夜の汽車で、平たい荷物を抱えた老人と二人きりになる。
- ひかりの素足山小屋で父と夜を明かした一郎と弟の楢夫。朝になって、楢夫は風の又三郎に言われたことがこわいと泣き出す。
- 人でなしの恋十九で旧家の門野家に嫁いだ京子は、女ぎらいと噂された美男子の夫に思いがけず深く愛される。
- 悟浄出世流沙河の河底に住む妖怪の悟浄は、自分とは何か、魂とは何かを考えずにいられない病にかかっている。
- 千鳥体をこわして学校を一年休んだ青木は、夏に世話になった西の小島の家を、小春の日にふたたび訪ねる。
- D坂の殺人事件九月初旬の蒸し暑い晩、私はカフェ白梅軒の窓から、向かいの古本屋の様子が妙なことに気づく。
- 少年十歳ほどの「私」は、同級で意気地なしと評判の塙信一から、屋敷のお稲荷様の祭りに誘われる。
- 歯車知人の結婚披露式へ向かう僕は、レエン・コオトを着た幽霊の噂を聞き、視野に回る半透明の歯車を見る。
- 夜叉ヶ池越前の山奥の琴弾谷で、鐘楼守の萩原晃は妻の百合と暮らし、一日に三度の鐘を撞いている。
- 夜長姫と耳男ヒダの若いタクミの耳男は、親方の身代りとして夜長の長者の邸へ行き、姫の持仏を彫る腕くらべに加わる。
- 風の又三郎九月一日の朝、谷川の岸にある小さな学校の教室に、見たこともない赤い髪の子がひとりですわっていた。
- 歌行灯霜月の月夜、膝栗毛をなぞって旅をする二人の老人が桑名に着き、川口の旅籠屋の湊屋へ向かう。
- 高野聖雪の夜、敦賀の古い宿で、若い「私」は道連れの旅僧に、若いころの飛騨の山越えの話を聞く。
- 河童精神病院の患者である第二十三号が、だれにでも語る話だ。三年前の夏、穂高山へ登る途中で河童に出会う。
- 遠野物語柳田國男が遠野の人佐々木鏡石から聞いた話を、一字一句加減せずに書き留めた百十九の話である。
- 蘆刈十五夜の夕方、わたしは後鳥羽院の離宮の跡をたずねて山崎へ行き、淀川の洲で月を眺める。
- 銀河鉄道の夜病気の母と暮らすジョバンニは、学校の後に活版所で働き、級友たちにからかわれている。
- 永日小品正月の客や泥棒騒ぎ、猫の死など、身の回りの小さな出来事を綴った二十五の小品が並ぶ。
- 押絵の奇蹟病床のピアノ教師トシ子が、名女形の菱田新太郎へ長い手紙を書く。二人は同じ病で血を吐いていた。
- お伽草紙空襲の夜、防空壕で子に絵本を読む父が、昔話とは別の物語を胸の中で組み立てはじめる。
- 草枕語り手の画工は、人の世の煩いを離れて物を画として見る非人情の旅を思い立ち、春の山路を那古井の温泉場へ向かう。
- 山の人生柳田國男が、山に入ったまま帰らなかった人々の記録と伝承を集め、そのわけを考えた研究である。
- 蠅男師走の大阪、帝塚山に焼場のような臭いが漂う。帆村荘六は煙の出る奇人館の暖炉で半焼けの屍体を見つける。