きんのわ
金の輪
- 読了時間
- 約4分
- 文字数
- 1,669字
- 読みやすさ
- やさしい
- 表記
- 新字新仮名
初出: 「読売新聞」1919(大正8)年1月21日~23日
三行でいうと
- 長い病気からようやく床を離れた太郎は、三月の末に外へ出る。だが往来には遊ぶ友だちがだれもいない。
- すずのような音とともに、見知らぬ少年が二つの金の輪をまわして走ってくる。少年は太郎にほほえむ。
- あくる日も同じ時刻に少年は現れ、何か言いたげにして去る。太郎はあしたこそ友だちになろうと考える。
登場人物
- 太郎
- 長いあいだ病気で寝ていたが、三月の末にようやく外へ出られるようになった子ども。
- 少年
- 金色に光る二つの輪をまわして往来を走ってくる少年で、太郎には見おぼえがない。
- おかあさん
- 晩がたになったら早く家へ入るよう、太郎に言いきかせている。
読みどころ
病み上がりの子どもが、見知らぬ少年に強く心を引かれる話だ。少年は一度も口をきかない。それでも太郎には、いちばん親しい友だちのように思えてならない。少年がだれなのかは作中ではっきり語られず、その問いが読み終えたあとも残る。
光と音の描き方に注目したい。二つの金の輪はふれあってすずのように鳴り、金色に光る。雪がまだ寺のうらや畑のすみに残る村で、その輪だけがあざやかに見える。太郎は「いったい、だれだろう。」と考え、白い道へ消える少年をいつまでも見送る。その姿を追って読みたい。
小川未明は『赤い蝋燭と人魚』などで知られる童話作家だ。この作品は「ですます」の語りでやさしく書かれていて、短い。子どもにも読める言葉で書かれているが、大人が読んでも静かな余韻が残る。
結末まで知りたい人へ
結末を表示する(ネタバレを含みます)
二日めの晩、太郎はおかあさんに少年の話をする。二日続けて同じ時刻に、金の輪をまわして走っていく少年のことだ。おかあさんはその話を信じなかった。
その夜、太郎は夢を見る。少年と友だちになり、金の輪を一つわけてもらう。ふたりは往来をどこまでも走って行き、いつしか赤い夕やけ空の中にはいってしまう。
あくる日から、太郎はまた熱を出す。そして二三日めに、七つで亡くなる。太郎は少年と一度も言葉をかわさないまま、物語は終わる。
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公開: 2026年10月27日 更新: 2026年10月28日