ふたごのほし
双子の星
- 読了時間
- 約22分
- 文字数
- 10,869字
- 読みやすさ
- やさしい
- 表記
- 新字新仮名
三行でいうと
- 天の川の西の岸に住むチュンセ童子とポウセ童子は、毎晩お宮で銀笛を吹く双子の星だ。
- ある朝、空の泉で大烏と蠍がけんかして倒れ、二人は重い蠍を家まで送ることになる。
- 雨の晩には乱暴者の彗星が旅に誘いに来る。王様の許しがあると聞いた二人は、そのしっぽにつかまる。
登場人物
- チュンセ童子
- 双子の星の一人で、大烏の傷口から毒のある血を吸い出して助ける。
- ポウセ童子
- 双子の星のもう一人で、蠍を支えて歩くうちに疲れ果てて倒れる。
- 大烏
- まっくろなびろうどのマントを着た星で、蠍に悪口を言われて飛びかかる。
- 蠍
- 赤い眼の星で、大烏をあざけってけんかになり、頭に深い傷を負う。
- 稲妻
- 王様の命令で、遅れた双子をお宮へ連れ帰りに来る。
- 彗星
- 空の鯨と自称する乱暴者で、王様の許しがあると言って双子を旅に誘う。
- 鯨
- 海の底で双子に追放の書き付けを出せと迫り、呑もうとする。
- 海蛇
- 双子の頭の上の後光を見て鯨を叱り、海蛇の王のもとへ案内する。
読みどころ
この作品の中心には、自分が損をしても相手を助けるかという問いがある。双子の星は、悪口からけんかになった大烏と蠍を、どちらも見捨てずに手当てする。役目に遅れると分かっていても、重い蠍を支えて歩き続ける。その行いが後の話にどうつながるかで、二つの話が一本に結ばれている。
読むときは、二つの話の作りがよく似ている点に注目したい。空の彗星と海の鯨は、ほとんど同じ言い回しで自分の強さを自慢する。彗星が飛ぶときの「ギイギイギイフウ。ギイギイフウ。」のように、音を写した言葉も楽しい。一つ目の話の終わりで歌われる星めぐりの歌は、実際の星座を並べた歌詞になっている。
宮沢賢治の童話の中では、初期に書かれた作品とされる。作中の星めぐりの歌は、賢治が詞と曲を作った歌としても知られる。蠍の星と星めぐりの歌は、のちの『銀河鉄道の夜』にも出てくる。読み比べると、賢治が長く同じ星空を描き続けたことが分かる。
結末まで知りたい人へ
結末を表示する(ネタバレを含みます)
蠍を送る途中で日が沈み、ポウセ童子はとうとう倒れてしまう。蠍は泣いて自分の愚かさをわび、心を改めると約束する。そこへ王様の命令を受けた稲妻が迎えに来て、蠍には王様からの薬を渡す。双子は泉で体を洗って新しい着物と沓をもらい、星めぐりの歌に間に合って笛を吹きはじめる。
雨の晩の旅では、彗星が途中で態度を変え、双子を空から吹き落とす。二人は互いの肱をつかんだまま海へ落ち、ひとでには新米の悪党と呼ばれる。鯨に呑まれかけたところで海蛇が現れ、二人は海蛇の王のもとへ案内される。王は二人が蠍の心を直した話を知っていて、竜巻に命じて二人を空へ送らせる。
空へ昇る途中、ばらばらになった彗星が海へ落ちていくのが見える。お宮に戻った二人は、役目を欠いたことを空の王様にわびる。そして海の底のひとでとなまこの許しを願い、夜明け前に銀笛を取りあげる。
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公開: 2026年10月27日 更新: 2026年10月28日