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「善と悪」の作品
何が正しく、何が悪いのかが揺らぐ作品。
- 蜘蛛の糸御釈迦様は極楽の蓮池のふちから、池の下に透けて見える地獄の底をのぞき、大泥坊の犍陀多に目を止める。
- マグノリアの木霧がじめじめ降るなか、諒安は険しい山谷の峯と谷を、沓の底を踏み抜きながらひとりで渡っていく。
- 牛人魯の叔孫豹は亡命の途中で一夜の契りを結び、のちに黒い牛のような男に救われる夢を見る。
- オツベルと象稲扱器械を六台も据えつけて百姓を働かせるオツベルの小屋に、ある日ふらりと白象がやって来る。
- 羅生門平安時代の終わり、荒れはてた京都。主人に暇を出された下人が、羅生門の下で雨がやむのを待っている。
- 一房の葡萄横浜の山の手にある学校に通う「僕」は、海の藍色と船の洋紅色を自分の絵具ではうまく出せずにいる。
- 赤い蝋燭と人魚北の海に棲む身重の人魚は、我が子を人間の町で幸せに育ててほしいと願い、陸で産み落とそうと決める。
- 堕落論敗戦から半年がたった。特攻の若者は闇屋になり、未亡人は新たな面影を胸に宿す。私は人間が変ったのではないと見る。
- 牛をつないだ椿の木牛曳きの利助さんは山道の椿の若木に牛をつなぎ、葉を食べさせてしまう。土地の地主にひどく叱られる。
- 花のき村と盗人たち初夏の昼、五人組の盗人が花のき村にやって来る。かしらは藪のかげで待ち、四人の弟子に村を探らせる。
- 双子の星天の川の西の岸に住むチュンセ童子とポウセ童子は、毎晩お宮で銀笛を吹く双子の星だ。
- 双生児ある死刑囚が教誨師にうちあけた話死刑を待つ男が先生に、裁判でも隠し通したもう一つの罪を打ち明ける。殺した相手は双子の兄だった。
- 鼠小僧次郎吉初秋の日暮れ、汐留の船宿の二階で遊び人の二人が酒を酌み交わし、鼠小僧の噂を始める。
- 駈込み訴え「申し上げます」と旦那さまのもとへ駈け込んだ男が、師である「あの人」を殺してほしいと訴え出る。
- 貝の火子兎のホモイは、流れで溺れかけたひばりの子を助ける。そのあと重い熱病にかかって寝込んでしまう。
- 将軍日露戦争の旅順で、白襷隊の兵たちが死地へ向かう。軍司令官のN将軍は兵の手を握り、大元気にやれと励ます。
- 半七捕物帳石灯籠天保十二年の暮れ、十九歳の半七は、小間物屋菊村の娘お菊が浅草へ出かけたまま帰らないと聞く。
- 琥珀のパイプ大震災から間もない渋谷の高台で、役所勤めの私は暴風雨の夜に近所の男たちと夜警の番に立つ。
- 赤い部屋異常な刺戟を求める七人の男が、緋色の垂絹で囲んだ「赤い部屋」に集まり、新入会員T氏の話を待つ。
- 赤ひげ診療譚徒労に賭ける養生所の見習医の保本登は、新出去定の外診の供をして、残暑のきびしい江戸の町を歩く。
- 赤ひげ診療譚駈込み訴え小石川養生所の見習医保本登は、赤髯こと新出去定の助手として死にゆく老人と重傷の女人夫に立ち会う。
- 山椒大夫筑紫へ行ったきりの父を尋ねて、母と安寿・厨子王の姉弟、女中の姥竹が越後の道を旅している。
- 恩讐の彼方に旗本の中川三郎兵衛に仕える市九郎は、主人の妾との仲をとがめられて斬り合いになり、主人を殺してしまう。
- 心理試験苦学生の蕗屋清一郎は、同級生の下宿先の老婆が植木鉢の底に大金を隠していると知り、奪う計画を半年かけて練る。
- 夜叉ヶ池越前の山奥の琴弾谷で、鐘楼守の萩原晃は妻の百合と暮らし、一日に三度の鐘を撞いている。
- 屋根裏の散歩者何をしても世の中が面白くない郷田三郎は、素人探偵の明智小五郎から犯罪の話を聞いて犯罪に惹かれていく。
- ハムレット敗戦の翌年の夏、高原の避暑地で古風な装いの白髪の老人が噂になる。連れの青年祖父江がその素性を語りだす。
- 大塩平八郎天保八年二月、飢饉の続く大阪で二人の少年が西町奉行所の門を敲き、陰謀を告げる訴状を差し出す。
- 蟹工船函館を出た蟹工船博光丸に、貧しい村や町から集められた漁夫と十四、五の雑夫が乗り込む。
- 坊っちゃん親譲りの無鉄砲で損ばかりしてきたおれは、物理学校を出て四国の中学校の数学教師になる。
- 新ハムレット先王が急死して二箇月、叔父クローヂヤスが王位を継いで王妃と結婚する。王子ハムレットは喪服のまま式に出る。
- 蠅男師走の大阪、帝塚山に焼場のような臭いが漂う。帆村荘六は煙の出る奇人館の暖炉で半焼けの屍体を見つける。
- 虞美人草哲学好きの甲野さんと快活な宗近君が春の京都を旅する。東京では甲野さんの異母妹の藤尾が、詩人肌の小野を思うままに操っている。