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ゆめじゅうや

夢十夜

夏目漱石

読了時間
約32分
文字数
15,867字
読みやすさ
ふつう
表記
新字新仮名
読む速さ

三行でいうと

  1. 「こんな夢を見た。」という書き出しで知られる、十の夢を描いた連作。
  2. 死ぬ間際の女に「百年待っていて下さい」と頼まれる男。目の見えない我が子を背負って、夜道を歩く父親。
  3. 夢らしく筋の通らない話もあれば、ぞっとするほど理屈の通った話もある。

登場人物

第一夜の女
自分はもう死ぬと静かに告げ、墓のそばで百年待ってほしいと頼む。
第三夜の子ども
父親に背負われた六つの子ども。目が見えないのに、道の様子を何でも言い当てる。
第六夜の運慶
鎌倉時代の仏師。明治の世に、護国寺の山門で仁王を彫っている。

読みどころ

十の夜はそれぞれ短いので、一晩に一夜ずつ読むこともできる。続けて読むと、夜ごとに夢の手ざわりが違うことがよく分かる。

美しく静かな第一夜、背筋の寒くなる第三夜、明治の世に運慶が仁王を彫っている第六夜が、特によく知られている。どの夜にも説明はなく、読者は夢の途中から話に入っていく。なぜそうなるのかを考えるより、場面の色や音をそのまま受け取るほうが楽しめる。

漱石の長編を読む前に、文章の美しさを短く味わいたい人にも向いている。

結末まで知りたい人へ

結末を表示する(ネタバレを含みます)

第一夜。男は女の墓のそばで、日が昇っては沈むのを数えながら待ち続ける。女にだまされたのではないかと思い始めたころ、墓石の下から茎が伸び、真っ白な百合が咲く。遠い空には暁の星が一つ瞬いていた。「百年はもう来ていたんだな」と、男はこのとき初めて気づく。

第三夜。杉の根元まで来たとき、背中の子どもが言う。「御前がおれを殺したのは今からちょうど百年前だね」。文化五年の辰年の闇夜に、この場所で盲目の男を殺したことを、父親は思い出す。その瞬間、背中の子どもが石地蔵のように重くなった。

第六夜。運慶は迷いなく鑿をふるい、仁王の顔を彫り出していく。見物の若い男は、あれは木の中に埋まっている眉や鼻を掘り出しているだけだと言う。まねをして家の薪を彫ってみた自分は、どの木からも仁王が出てこないことを知り、明治の木には仁王は埋まっていないのだと悟る。

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公開: 2026年10月26日 更新: 2026年10月26日

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