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「自尊心と劣等感」の作品
自分を認めてほしい気持ちと、自信のなさの間で揺れる人物が描かれる作品。
- 黄金風景子供のころの私は、のろくさい女中のお慶をいびり続け、肩を蹴って泣かせたこともあった。
- 猿ヶ島長い旅に疲れた語り手は、海を越えて霧深い島に着き、岩山の枯れ木に登って枝を折ってしまう。
- 山月記唐の時代。若くして科挙に合格した秀才の李徴は、役人を辞め、詩人として名を残そうとする。
- 鼻池の尾の禅智内供は、顋の下まで垂れた長い鼻を内心ずっと苦にしている。人前では気にしない顔ですましている。
- 興津弥五右衛門の遺書細川家に仕える興津弥五右衛門は、主君の墓前で切腹する前日、子孫のために京都の弟の家で遺書を書く。
- 父帰る明治四十年頃の南海道の小さな町。父が家を出て二十年、母と三人の子はつつましく暮らしている。
- 手巾法科大学教授の長谷川謹造は、初夏の午後にヴエランダの籐椅子でストリントベルクの作劇術を読んでいる。
- 枯野抄元禄七年十月、大阪の花屋の裏座敷で、俳諧の大宗匠である芭蕉が門弟たちに囲まれて息を引きとろうとしている。
- 堕落論敗戦から半年がたった。特攻の若者は闇屋になり、未亡人は新たな面影を胸に宿す。私は人間が変ったのではないと見る。
- 入れ札役人を斬って関所を破った国定忠次と子分たちは、信州へ向かう山中で夜明けに足を止める。
- 土神ときつね一本木の野原の北に立つ樺の木には、谷地に住む乱暴な土神と、上品な狐の二人の友達がいた。
- 魚玄機唐の都長安で、詩と美貌で名高い女道士の魚玄機が、人を殺して獄に下ったと噂が広まる。
- 日本婦道記箭竹万治二年の秋、将軍家綱は射ごこちのよい矢に、きまって「大願」の二字が彫られていることに気づく。
- 千代女十二の時に綴方が雑誌で一等に選ばれた和子が、来年十九になる今、自分は駄目な女だと語り始める。
- 或阿呆の一生本屋の梯子の上で世紀末の本を探す二十歳の「彼」から始まり、五十一の短い断章で一人の文学者の生涯をたどる。
- 競馬元中学教師の寺田は、淀の競馬場で朝から1番の馬ばかり買い続けている。亡くなった妻の名が一代だったからだ。
- 竹の木戸東京郊外に住む会社員の大庭真蔵の家は、井戸のない隣の植木屋夫婦に水を汲ませてやっている。
- 畜犬談伊馬鵜平君に与える「私」は犬を猛獣と恐れ、いつか必ず噛まれると信じている。友人が噛まれた話を聞き、憎しみは頂点に達した。
- きりぎりす二十四歳の妻が、五年連れ添った画家の夫へ別れを告げる。全編がその妻の語りかけでできている。
- 修禅寺物語伊豆の修禅寺村に住む面作師の夜叉王は、将軍頼家に似せた面を半年たっても納めずにいる。
- 駈込み訴え「申し上げます」と旦那さまのもとへ駈け込んだ男が、師である「あの人」を殺してほしいと訴え出る。
- 不良少年とキリスト歯痛で十日寝こんだ私は、頬に氷をのせて太宰の本を読みかえし、看病する女房に当たり散らす。
- 秘密刺激に飽きた私は、浅草の寺の一間に隠れ住み、奇怪な書物や仏画に囲まれて暮らし始める。
- グッド・バイ終戦から三年、闇商売で稼ぐ編集長の田島は、十人ちかい愛人と別れて妻子を呼び寄せようと考える。
- 親友交歓昭和二十一年の九月、津軽の生家に避難していた私のもとへ、小学校の同級生だという平田が訪ねてくる。
- 富嶽百景富士は低く俗な山だと思っている「私」が、昭和十三年の初秋に甲州の御坂峠の茶屋へ移り住む。
- 風と光と二十の私と父が死んで借金だけが残り、二十の私は下北沢にある小学校の分校で代用教員になる。
- 蘭学事始江戸の長崎屋に通う医師の杉田玄白は、篤学で知られる前野良沢にどうしても親しめずにいる。
- 堺事件明治元年、堺の取り締まりを任された土佐藩の兵が、上陸したフランス水兵を撃ち、十三人を死なせる。
- 清貧の書語り手の私は、東京に出て四年の間に三人の男の妻となった。三人目の夫は絵を描く与一だ。
- 悟浄出世流沙河の河底に住む妖怪の悟浄は、自分とは何か、魂とは何かを考えずにいられない病にかかっている。
- 赤ひげ診療譚狂女の話長崎で蘭方を学んで江戸へ戻った保本登は、小石川養生所の医長の新出去定から、いきなり見習を命じられる。
- 戯作三昧天保二年の秋、六十を越えた曲亭馬琴は朝湯で愛読者に八犬伝を褒められ、湯船では自作の悪口を聞かされる。
- 東京八景(苦難の或人に贈る)昭和十五年の夏、三十二歳の私は伊豆の山村の安宿にこもる。十年間の東京生活を書こうと地図を広げる。
- ダス・ゲマイネ恋に破れた二十五歳の大学生の「私」は、上野の甘酒屋で、音楽学校に八年いるという奇妙な男の馬場と知り合う。
- 忠直卿行状記大坂の陣で一番乗りの手柄を立てた忠直卿は、家康に褒められ、天下第一の誇りを抱いて越前へ帰る。
- 湖畔旧大名家の奥平が、二歳にならない息子に宛てて、妻を手にかけた事情と失踪の理由を書き残す。
- 阿部一族寛永十八年の春、肥後の大名細川忠利が病で亡くなる。許しを得た家臣十八人が、次々に殉死していく。
- 日日平安江戸へ帰る途中の井坂十郎太は、空腹から切腹のまねをする浪人の菅田平野に呼び止められる。
- 女生徒五月の最初の朝、眼鏡をかけた女学生の「私」が目をさまし、亡き父を思いながら犬と遊んで家を出る。
- ちいさこべ神田の大工の店「大留」の若棟梁茂次は、川越の普請先で、江戸の大火で両親が死んだと知らされる。
- 李陵漢の武帝の時代、騎都尉の李陵は騎兵を持たない歩兵五千を率いて、匈奴の地へ深く攻め入る。
- 歌行灯霜月の月夜、膝栗毛をなぞって旅をする二人の老人が桑名に着き、川口の旅籠屋の湊屋へ向かう。
- 女の決闘太宰治が森鴎外訳の短篇『女の決闘』を読者と一緒に読み、原作の合間に自分の筆を差し込んでいく。
- 蒲団妻と三人の子がある作家の竹中時雄のもとへ、文学を志す女学生の横山芳子が弟子入りしてくる。
- 一九二八年三月十五日小樽で労働運動に加わる夫の龍吉を、妻のお惠は誇りと不安の入りまじった気持ちで見守っている。
- 春琴抄大阪道修町の薬種商の娘、春琴は九歳で失明する。琴と三味線に打ち込み、丁稚の佐助が手を曳いて稽古に通う。
- 五重塔谷中感応寺に五重塔が建つと聞き、腕はあるが世渡りの下手な大工の十兵衛が、自分に建てさせてほしいと願い出る。
- ヰタ・セクスアリス哲学者の金井湛は自然派の小説を読むうちに、自分だけが性欲に冷淡なのではないかと疑い始める。
- 人間失格人間の生活というものが見当つかない葉蔵は、幼い頃から道化を演じて周りを笑わせ、本心を隠して生きてきた。
- 雁明治十三年、医科の学生の岡田は散歩の途中、無縁坂の家の窓にいる女と会釈を交わすようになる。
- 平凡三十九歳の小役人である語り手が、内職の賃訳が途切れた暇に、自分の平凡な半生を書き始める。
- 斜陽敗戦の年の冬、かず子は母と二人で東京の家を手放し、伊豆の山荘に移ってひっそりと暮らしはじめる。
- 正義と微笑十六歳の芹川進は兄にマタイ伝を読んでもらい、微笑して正義を行うと心に決めて日記をつけ始める。
- 浮雲役所を免職になった内海文三は、身を寄せる叔父の家の娘お勢と一緒になる日を当てにしていた。
- 青年Y県から上京した小泉純一は、小説家を志して大石路花を訪ね、谷中の初音町に小さな家を借りる。
- 坑夫二人の少女との関係に行き詰まって家を出た十九歳の青年が、松原の茶店で長蔵という男に呼び止められる。
- 痴人の愛電気会社の技師の河合譲治は、浅草のカフエエで働く十五歳のナオミを引き取り、理想の妻に育てようとする。
- 虞美人草哲学好きの甲野さんと快活な宗近君が春の京都を旅する。東京では甲野さんの異母妹の藤尾が、詩人肌の小野を思うままに操っている。
- 破戒信州飯山の小学校で教える瀬川丑松は、被差別部落の出身であることを隠せという父の戒めを守って暮らしている。
- さぶ栄二とさぶは小舟町の表具屋芳古堂で育った職人仲間で、ぐずと言われるさぶは栄二を頼りにしている。
- 金色夜叉明治の東京で、孤児の間貫一は恩人の鴫沢家に養われ、一人娘の宮と夫婦になる約束をしていた。