だざい おさむ
太宰治
1909〜1948
『人間失格』『斜陽』で知られる。暗い作品が多い一方、『走れメロス』のような明るい作品も書いた。
短い順に読む
- 満願四年まえの夏、私は伊豆の三島で小説を書いていた。ある夜、酔って自転車で転び、町の医者に駈けつける。
- 待つ二十の娘が、買い物の帰りに省線の小さい駅に立ち寄る。冷いベンチに坐って改札口を眺め、誰かを待つ。
- 黄金風景子供のころの私は、のろくさい女中のお慶をいびり続け、肩を蹴って泣かせたこともあった。
- 桜桃小説家の「私」は、幼い三人の子がいる家で、いつも冗談を言って明るくふるまっている。
- 魚服記本州の北端にある馬禿山の滝のそばで、スワは父親と炭焼小屋に暮らしながら茶店の番をしている。
- 猿ヶ島長い旅に疲れた語り手は、海を越えて霧深い島に着き、岩山の枯れ木に登って枝を折ってしまう。
- 葉桜と魔笛葉桜のころになると、老夫人は三十五年前に島根の城下まちで過ごした春を思い出す。
- 眉山戦後の新宿で、小説家の僕たちは飲み屋の若松屋に通い、女中のトシちゃんを陰で眉山と呼んでいた。
- 走れメロス村で羊を飼って暮らすメロスは、人を信じられずに次々と人を殺す王に怒り、城へ乗り込んで捕まる。
- 千代女十二の時に綴方が雑誌で一等に選ばれた和子が、来年十九になる今、自分は駄目な女だと語り始める。
- 畜犬談伊馬鵜平君に与える「私」は犬を猛獣と恐れ、いつか必ず噛まれると信じている。友人が噛まれた話を聞き、憎しみは頂点に達した。
- きりぎりす二十四歳の妻が、五年連れ添った画家の夫へ別れを告げる。全編がその妻の語りかけでできている。
- トカトントン青森の海辺の郵便局に勤める二十六歳の青年が、中学の先輩にあたる作家へ長い手紙を書く。
- 駈込み訴え「申し上げます」と旦那さまのもとへ駈け込んだ男が、師である「あの人」を殺してほしいと訴え出る。
- グッド・バイ終戦から三年、闇商売で稼ぐ編集長の田島は、十人ちかい愛人と別れて妻子を呼び寄せようと考える。
- 親友交歓昭和二十一年の九月、津軽の生家に避難していた私のもとへ、小学校の同級生だという平田が訪ねてくる。
- 富嶽百景富士は低く俗な山だと思っている「私」が、昭和十三年の初秋に甲州の御坂峠の茶屋へ移り住む。
- ヴィヨンの妻詩人の大谷の妻である「私」は、酒を飲み歩いて帰らない夫を待ち、病弱な坊やと小金井の荒れた家で暮らしている。
- 東京八景(苦難の或人に贈る)昭和十五年の夏、三十二歳の私は伊豆の山村の安宿にこもる。十年間の東京生活を書こうと地図を広げる。
- ダス・ゲマイネ恋に破れた二十五歳の大学生の「私」は、上野の甘酒屋で、音楽学校に八年いるという奇妙な男の馬場と知り合う。
- 女生徒五月の最初の朝、眼鏡をかけた女学生の「私」が目をさまし、亡き父を思いながら犬と遊んで家を出る。
- 女の決闘太宰治が森鴎外訳の短篇『女の決闘』を読者と一緒に読み、原作の合間に自分の筆を差し込んでいく。
- ろまん灯籠洋画家の入江新之助が亡くなったあとの家には、ロマンスを好む五人の兄妹と祖父母と母が暮らしている。
- お伽草紙空襲の夜、防空壕で子に絵本を読む父が、昔話とは別の物語を胸の中で組み立てはじめる。
- 人間失格人間の生活というものが見当つかない葉蔵は、幼い頃から道化を演じて周りを笑わせ、本心を隠して生きてきた。
- パンドラの匣終戦の日に喀血を打ち明けた二十歳の小柴利助は、結核療養所「健康道場」に入り、親友へ手紙を書き始める。
- 斜陽敗戦の年の冬、かず子は母と二人で東京の家を手放し、伊豆の山荘に移ってひっそりと暮らしはじめる。
- 惜別東北の村で開業する老医師が、仙台医専の同級生だった周樹人と恩師藤野先生の思い出を手記に書く。
- 新ハムレット先王が急死して二箇月、叔父クローヂヤスが王位を継いで王妃と結婚する。王子ハムレットは喪服のまま式に出る。
- 正義と微笑十六歳の芹川進は兄にマタイ伝を読んでもらい、微笑して正義を行うと心に決めて日記をつけ始める。
- 津軽作家の私は津軽のことを書くために、ある年の五月に作業服姿で東京を発ち、故郷の津軽半島を一周する。
- 右大臣実朝実朝の死から二十年後、近習だった語り手が山奥で、仕えた将軍家の日々を問われるままに語り出す。