作家が最晩年に書いた作品
亡くなる直前の数年に書かれた作品。それまでの作風から離れたものも多く、作家が最後に何を書こうとしたのかが見えてくる。
- 玄鶴山房ゴム印の特許で資産を作った堀越玄鶴は肺結核を患い、娘夫婦と寝たきりの妻のいる家の離れで床に就いている。
- 蜃気楼秋の昼ごろ、僕は東京から来た大学生のK君と鵠沼の海岸へ蜃気楼を見に出かけ、途中でO君も誘う。
- 歯車知人の結婚披露式へ向かう僕は、レエン・コオトを着た幽霊の噂を聞き、視野に回る半透明の歯車を見る。
- 或阿呆の一生本屋の梯子の上で世紀末の本を探す二十歳の「彼」から始まり、五十一の短い断章で一人の文学者の生涯をたどる。
- のんきな患者肺を病む吉田は寒に入って高い熱を出し、身動きもできないまま眠れない夜の不安に苦しむ。
- 人間失格人間の生活というものが見当つかない葉蔵は、幼い頃から道化を演じて周りを笑わせ、本心を隠して生きてきた。
- 桜桃小説家の「私」は、幼い三人の子がいる家で、いつも冗談を言って明るくふるまっている。
- グッド・バイ終戦から三年、闇商売で稼ぐ編集長の田島は、十人ちかい愛人と別れて妻子を呼び寄せようと考える。
- 眉山戦後の新宿で、小説家の僕たちは飲み屋の若松屋に通い、女中のトシちゃんを陰で眉山と呼んでいた。
作家ごとにまとめ、亡くなった年の順に並べた。芥川龍之介は1927年、梶井基次郎は1932年、太宰治は1948年に亡くなっている。