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たかせぶね

高瀬舟

森鷗外

読了時間
約18分
文字数
8,723字
読みやすさ
ふつう
表記
新字新仮名
読む速さ

初出: 「中央公論 第31年第1号」1916(大正5)年1月1日

三行でいうと

  1. 江戸時代の京都では、遠島を言い渡された罪人を、高瀬川を下る小舟で大阪へ送った。舟には町奉行所の同心が付き添った。
  2. ある晩、同心の羽田庄兵衛が乗せたのは、弟を殺した罪で島へ送られる喜助という男だった。
  3. 喜助はなぜか晴れやかな顔をしている。不思議に思った庄兵衛は、そのわけを尋ねる。

登場人物

喜助
三十歳ほどの、住む家を持たない男。弟殺しの罪で遠島を言い渡された。
羽田庄兵衛
京都町奉行所の同心。妻と四人の子と老母を養い、倹約して暮らしている。

読みどころ

短い作品に、大きな問いが二つ入っている。一つは「足るを知る」とはどういうことか。もう一つは、苦しむ人の死を手助けすることは罪になるのか、である。

喜助は、島へ送られるときにお上から渡された二百文を、ありがたそうに持っている。その話を聞いた庄兵衛は、自分の暮らしと比べ始める。稼いだ分がそのまま出ていく点では、自分も喜助と変わらない。それなのに喜助は満足し、自分は満足できない。この比較が前半の読みどころになる。

後半の喜助の告白は、百年以上前の作品とは思えないほど、今の社会の問題に近い。読み終えたあと、誰かと意見を交わしたくなる作品だ。

結末まで知りたい人へ

結末を表示する(ネタバレを含みます)

喜助は、病気で働けなくなった弟と二人で暮らしていた。ある日仕事から帰ると、弟は剃刀で喉を切ったものの死にきれず、苦しんでいた。弟は、剃刀を抜いてくれれば死ねると喜助に頼む。喜助が剃刀を引き抜いたところへ、留守中の世話を頼んでいた近所のばあさんが入ってきた。こうして喜助は、弟殺しとして裁かれたのである。

庄兵衛は、これが本当に人殺しなのかと疑問を抱く。しかし自分では答えが出せず、お奉行様の判断に従うほかないと考える。更けていくおぼろ夜の中、黙り込んだ二人を乗せた舟は、黒い水の上を進んでいった。

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公開: 2026年10月26日 更新: 2026年10月26日

テーマ: 教科書でおなじみの名作