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ふらんどんのうがっこうのぶた

フランドン農学校の豚

宮沢賢治

読了時間
約23分
文字数
11,480字
読みやすさ
ふつう
表記
新字新仮名
読む速さ

三行でいうと

  1. 農学校で飼われる豚は、自分のからだが白金と並べられたのを聞き、その値段を勘定してすっかり幸せになる。
  2. 王の布告が出て、家畜を殺すには、その家畜が判を押した死亡承諾書が要ることになる。
  3. 校長は証書を手に豚を訪ね、教師は肥育を急がせる。豚は人間たちの言葉の意味が分からないまま、おびえ続ける。

登場人物

豚
フランドン農学校の畜舎で飼われるヨークシャイヤで、流暢な人間語を話す。
校長
黄色の死亡承諾書を持って豚を訪ね、爪印を押させようとする。
畜産の教師
毎日鋭い眼で豚の目方を見積もり、助手に肥育を指図する。
助手
水色の上着を着た教師の助手で、叮寧な口ぶりのまま鞭で豚を追う。
生徒
豚小屋に来て、豚の脂肪や目方、食べる日のことを話していく。

読みどころ

殺される家畜から、本人の判を押した死亡承諾書を取らなければならない。この奇妙な法律が話の芯にある。豚は人間の言葉が分かるので、教師や校長の語気から自分の身に何かが迫っていると察する。それでも何をされるのかだけは分からず、聞いた言葉を繰り返しては頭が割れそうになる。大事に育てると言う同じ口から、食べる側の都合が出てくる。その怖さが豚の目を通して描かれる。

語り手はときどき話を止めて「大学生諸君」に呼びかける。豚が自分の値段を白金で勘定して喜ぶ冒頭は、おかしみがある。校長の苦笑いや、助手の叮寧すぎる言葉づかいにも注目したい。丁寧な言葉と鞭が並んで出てくるので、笑いと恐ろしさが入りまじる。

宮沢賢治は、花巻の農学校で教えていた時期がある。この作品は冒頭の原稿が欠けた形で伝わっていて、本文は文の途中から始まる。『よだかの星』や『注文の多い料理店』と同じく、食べる者と食べられる者の関係を扱った作品として読むこともできる。

結末まで知りたい人へ

結末を表示する(ネタバレを含みます)

校長は、死ぬのはいつか分からないあいまいな話だと言って、証書への爪印を求める。豚は「何時にてもということは、今日でもということですか。」と問い返し、最後は泣いて断る。校長は怒って帰っていき、翌日の豚はすっかり肉が落ちていた。教師は校長がおじけさせたせいだと口惜しがる。窓を開けさせ、鞭で追いながら散歩させ、キャベジを与えても、豚は痩せていく一方だった。

教師は強制肥育に切り替えると決め、その前に承諾書を取るよう校長を急かす。校長に怒鳴られた豚はおびえきって、右の前肢で証書に判を押す。豚は鉄の環に足を縛られ、口に鋼の管をねじ込まれる。そこへ通したズックの管で、練った飼料が胃に送り込まれる。七日のあいだ肥らされた豚の前で、生徒たちは豚が何斗あるかを言い合う。

教師は明日がいいと決める。豚は飼料を止められ、湯を張った木の鉢で洗われるが、そのブラッシも豚の毛でできていた。翌朝、豚は生徒たちに囲まれて雪の照る外へ連れ出され、教師の鉄槌で倒れる。助手が咽喉を刺し、豚は八つに分けられて雪の中に埋められる。その晩は空がよく晴れ、つめたく光る月がだまって過ぎて行く。

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青空文庫で無料で読む図書カード:フランドン農学校の豚

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公開: 2026年10月27日 更新: 2026年10月28日