よだかのほし
よだかの星
- 読了時間
- 約11分
- 文字数
- 5,159字
- 読みやすさ
- やさしい
- 表記
- 新字新仮名
三行でいうと
- よだかは顔がまだらで口の裂けたみにくい鳥で、ほかの鳥たちからいつも悪口を言われている。
- 名前が似ているのを嫌う鷹が、市蔵と改名してあいさつに回らなければつかみ殺すと迫ってくる。
- 毎晩虫を殺して生きていることに気づいたよだかは、弟の川せみに別れを告げて遠くへ行こうと決める。
登場人物
- よだか
- 顔がまだらで口の裂けた鳥で、夜に羽虫をとって食べて生きている。
- 鷹
- よだかに自分の名を使われるのを嫌い、市蔵と名前を変えろと迫る。
- 川せみ
- よだかの弟で、魚を食べるきれいな鳥である。
- お日さま
- 連れて行ってくれと頼むよだかに、今夜星にたのんでみよと言う。
- 鷲
- 天の川の向う岸の星で、星になるには身分と金がいると言って断る。
読みどころ
よだかは何も悪いことをしていないのに、見た目のせいでみんなに嫌われている。ところがある晩、自分も毎晩たくさんの羽虫を殺して生きていることに気づく。いじめられる者と、ほかの命を奪う者が一つのからだに重なっている。この苦しさから逃れようとするよだかの姿が、作品の中心にある。
甲虫を呑みこんだよだかが、せなかがぞっとして泣き出す場面に注目したい。考えが変わるきっかけは、のどの中でもがく虫の感触として書かれている。山焼けの火の色や星あかりの冷たさも場面ごとに変わり、よだかの心の動きと重なっていく。弟の川せみとの短い会話には、別れの重さが静かににじむ。
宮沢賢治の童話で、生前には発表されなかった作品である。『銀河鉄道の夜』に出てくる蠍の話と読み比べると、同じ問いが別の形で書かれていることに気づく。短い童話なので、子どもも大人も同じ文章を読める。
結末まで知りたい人へ
結末を表示する(ネタバレを含みます)
川せみと別れたよだかは、夜明けに巣をかたづけ、羽をそろえてお日さまへ飛んでいく。灼けて死んでもかまわないと頼むが、お日さまはいくら飛んでも近くならない。お日さまは、ひるの鳥ではないのだから今夜星にたのめと言う。よだかは力尽きて野原に落ち、夢を見ているような状態になる。
夜になって目を覚ましたよだかは、西のオリオン、南の大犬座、北の大熊星、東の鷲の星へと順に飛んで頼む。オリオンは相手にせず、大犬は鳥の羽では億年兆年かかると笑う。大熊星は頭をひやせと言い、鷲は身分と金がいると断る。力を落として地面に落ちかけたとき、よだかは急に空へ舞い上がり、鷹のような声で高く叫ぶ。
よだかはまっすぐに空をのぼり続ける。息は凍り、羽はしびれ、ついに上も下もわからなくなる。それがよだかの最後で、血のついたくちばしは少し笑っていた。しばらくしてよだかが目をひらくと、自分のからだが青い美しい光になって燃えていた。となりはカシオピア座で、よだかの星は今でも燃え続けている。
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公開: 2026年10月27日 更新: 2026年10月28日