つぇねずみ
ツェねずみ
- 読了時間
- 約10分
- 文字数
- 4,851字
- 読みやすさ
- やさしい
- 表記
- 新字新仮名
三行でいうと
- 古い家の天井裏にすむツェねずみは、いたちに教えられて金米糖を拾いに行くが、蟻の兵隊に追い返される。
- ツェねずみはいたちに償いを迫って金米糖をせしめ、仲よくなった柱やちりとり、バケツにも償いを求める。
- だれにも相手にされなくなったツェねずみは、まだつきあったことのないねずみ捕りのえさを食べに通いはじめる。
登場人物
- ツェねずみ
- 古い家の天井裏にすむねずみで、何かあるたびに相手に償いを求める。
- いたち
- 戸棚の穴から金米糖がこぼれているとツェねずみに教え、責められて自分の金米糖を投げ出す。
- 蟻の特務曹長
- 金米糖のまわりに非常線を張り、近づいたツェねずみを追い返す。
- 柱
- 冬の夜具にと鳥の毛を運ぶようすすめ、ツェねずみが坂から落ちると責められて泣く。
- ちりとり
- ツェねずみに最中をやり、次の日におなかが痛くなったと償いを言われて交際をやめる。
- バケツ
- 顔を洗うようにとせんたくソーダのかけらをやり、ひげが抜けたと責められて泣いてあやまる。
- ねずみ捕り
- 針がねを編んだねずみ捕りで、人間に大事にされないため、ねずみの方に同情している。
- 下男
- 顔のまっ赤な男で、毎朝ねずみ捕りを見に来てえさを取りかえる。
読みどころ
この話の中心には、何が起きても相手に償いを求めるねずみがいる。ツェねずみは親切にしてくれた相手にまで「私のような弱いものをだますなんて」と言い、償いを迫る。自分を弱いものと呼びながら相手を責め立てる姿はおかしい。それでいて、周りから人が離れていく理由もよく分かる。
読むときは繰り返しに注目したい。償っておくれを百ばかり、二百五十ばかり言ったと、回数で語るところに笑いがある。柱、ちりとり、バケツが言葉を話し、それぞれに困り方が違うのも楽しい。人間に大事にされず、ねずみの方に同情しているねずみ捕りの事情も読みどころである。
宮沢賢治は動物や道具が口をきく童話を数多く書いた。この作品もその一つで、短く分かりやすい文章で書かれている。子どもと一緒に読んでも、大人が一人で読んでも楽しめる。
結末まで知りたい人へ
結末を表示する(ネタバレを含みます)
ねずみ捕りはえさだけあげると約束し、ツェねずみは半ぺんを食べて帰る。次の晩には鰯を食べ、恩に着せたような口をきく。下男はえさだけ取られることに怒り、ねずみ捕りがねずみからわいろをもらったと疑う。ねずみ捕りは疑いを受けて一日おこっていた。
三晩目、ツェねずみはさも大儀そうに現れ、えさの半ぺんがくさっていると知って「償ってください。償ってください。」と叫ぶ。ねずみ捕りは怒って針金をりゅうりゅうと鳴らし、そのはずみでかぎがはずれて入り口が閉じる。ツェねずみは針金をかじり、泣いてわめくが、償ってくれと言う力はもう残っていない。
ねずみ捕りも一晩じゅうふるえ続け、とうとう朝になる。下男はこおどりして喜び、意地の悪そうなねずみだと言って、出て来いと呼びかける。話はそこで終わる。
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公開: 2026年10月27日 更新: 2026年10月28日