女性の一人語りで書かれた作品
全編が女性の語り手の独り言や手紙でできている作品。太宰治が得意とした書き方で、語り手の心の揺れがそのまま文章の調子になる。
- 女生徒五月の最初の朝、眼鏡をかけた女学生の「私」が目をさまし、亡き父を思いながら犬と遊んで家を出る。
- 葉桜と魔笛葉桜のころになると、老夫人は三十五年前に島根の城下まちで過ごした春を思い出す。
- きりぎりす二十四歳の妻が、五年連れ添った画家の夫へ別れを告げる。全編がその妻の語りかけでできている。
- 千代女十二の時に綴方が雑誌で一等に選ばれた和子が、来年十九になる今、自分は駄目な女だと語り始める。
- 待つ二十の娘が、買い物の帰りに省線の小さい駅に立ち寄る。冷いベンチに坐って改札口を眺め、誰かを待つ。
- ヴィヨンの妻詩人の大谷の妻である「私」は、酒を飲み歩いて帰らない夫を待ち、病弱な坊やと小金井の荒れた家で暮らしている。
- 斜陽敗戦の年の冬、かず子は母と二人で東京の家を手放し、伊豆の山荘に移ってひっそりと暮らしはじめる。
すべて太宰治の作品で、発表された順に並べた。語り手は、十代の少女から画家の妻、母を看取る娘までさまざまである。