漱石の前期三部作
夏目漱石が朝日新聞に続けて連載した『三四郎』『それから』『門』。主人公は別々だが、恋と生き方の選択という同じ問いが三つの段階で書かれている。
- 三四郎熊本の高等学校を卒業した小川三四郎は、大学に入るため汽車で上京する。車中で同じ宿に泊まる女や髭の男と出会う。
- それから三十になっても職に就かない長井代助は、父の金で読書と音楽に暮らしている。そこへ旧友の平岡が東京へ戻ってくる。
- 門役所に勤める宗助は、崖下の借家で妻の御米と静かに暮らしている。子はなく、二人は過去をあまり語らない。
連載された順に並べた。三四郎は恋の手前で迷い、代助は恋のために世間を捨て、宗助と御米はその後の暮らしを生きる。続けて読むと、一つの問いが年齢とともに形を変えていく様子が分かる。