漱石の後期三部作
修善寺での大病のあとに夏目漱石が書いた『彼岸過迄』『行人』『こころ』。どれも、人を信じきれない男の孤独を中心に置いている。
- 彼岸過迄大学を出たが職の見つからない田川敬太郎は、平凡を嫌い、世の中の不思議な事件に出会いたいと願っている。
- 行人二郎は友人の三沢と大阪で会う約束をするが、三沢は胃を病んで入院し、同じ病院の芸者を気にかける。
- こころ鎌倉の海で知り合った先生に惹かれ、学生の私は東京の家へ通う。先生は毎月、友の墓に一人で参っている。
連載された順に並べた。三作とも、語り手が別の人物の内面を手紙や打ち明け話で知る形をとる。前期三部作の恋の物語から、自分の心と向き合う物語へ移っていく流れが分かる。